十円をきれいに

1.はじめに

 古くなった十円玉(成分 銅:亜鉛:スズ=95:4:1 の青銅)をきれいにするための方法を色々と考え実験したので紹介する。場合によっては,貨幣損傷等取締法に抵触するので注意すること。

2.準備

 十円玉,ビーカーまたはプラスチックコップ,酸(食酢,塩酸等),還元剤(ハイドロサルファイト,シュウ酸),アルカリ(水酸化ナトリウム水溶液,アンモニア水),塩(塩化ナトリウム,塩化アンモニウム),しょう油,磨き粉,ピカール,キッチンペーパー

 

3.実験

 (1)ビーカーに各種溶液を入れ,十円玉を入れる。

 (2)五分後の様子をみる。塩酸,ハイドロサルファイト,しょう油が完全とはいえないがきれいになった。

 左上から横にハイドロサルファイト,シュウ酸,塩酸,しょう油,食酢,水酸化ナトリウム水溶液

 (3)二時間後取り出し様子をみる。

 左上からしょう油,ハイドロサルファイト,食酢,シュウ酸,塩酸,水酸化ナトリウム水溶液

 (4)どれも完全とはいえないため,プラスチック消しゴムでこすってみると,水酸化ナトリウムのもの以外はきれいになった。

 (5)また,十円玉を水を付けて磨き粉でこすったり,ピカールで磨いてもきれいになった。

 

 (6)最もきれいだったのは,光沢の多いピカールで磨いたものであった。

 昭和29年のものを磨いた例(磨く前と後)

 

 参考 ピカールとは,ホームセンター等で販売されている次のような金属磨きである。

 

 追加 銅イオンはアンモニウムイオンと錯イオンを作るのでアンモニア水を用いると5分程度で完全とはいえないがきれいになった。また,塩化アンモニウム水溶液でも同様であった。食塩水の場合は,わずかに変化した。

 以上ことから,十円玉を化学的にきれいにするには酸・還元剤・錯イオンが効果的であった。身近な物質ではしょう油がかなりきれいになった。したがってお勧めは,しょう油+磨き粉+ピカールである。

 注意点としてあまり長時間,溶液に浸けないこと。今回の実験では質量変化はほとんどなかったが,一日浸けたり,高濃度(今回の試薬の濃度は1%程度)の場合は危険である。場合によっては,貨幣損傷等取締法に抵触するので注意すること。(2008.9.12 追加)

 タバスコ・ソース・梅干しなどもきれいになるようです。(2008.9.12 追加)

 補足 新版 化学を楽しくする5分間(日本化学会編 化学同人)によると,しょう油には食塩やアミノ酸が含まれていてこれが銅と錯イオンを作るため,綿等につけて拭けばきれいになるようである。

 


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