水酸化鉄コロイドの挙動

 

1.はじめに

 未透析の水酸化鉄(3)コロイドの凝析に関する実験(凝析価の測定)を行ったので紹介する。

2.実験

 1mol/lの塩化鉄(3)溶液を沸騰水中に1%になるように加え,1分間加熱したもので未透析のもの  (約pH=2)に電解質の粉末を加え,その質量を測定した。

3.結果と考察

 1.電解質の種類による影響   陽イオンによる差は,小さいが陰イオンの差は大きい(正コロイドのため)。
  ただし,透析したものに比べ1価と2価の凝析価(mol/l)の値と比が大きすぎる。
   実験値 1.5:0.0015   文献値 0.01:0.0002
  これは溶液内に含まれる他のイオンの量が多く,一種の保護コロイドになっていると考えられる。

 2.凝析時の温度による影響 
  高温であるほど凝析価が小さかった。
  ただし,5分後の沈殿の有無を測定したため反応速度の差の影響かもしれない。

 3.コロイド生成時の加熱時間による影響 
  加熱時間が長い程凝析価が小さかった。コロイドの生成が進んだためである。

 4.コロイドの濃度による影響 
  濃い塩化鉄(3)溶液で生成したものは凝析価は小さいが,それを希釈しても凝析価はほとんど変化しなかった。 (色,pHは変化あり)

 5.保護コロイド
  ゼラチン,可溶性デンプンで可能であったが,透析したものは可溶性デンプンでは不可能であった。

 

参考 透析の有無による塩化アンモニウムと硫酸アンモニウムの凝析価の違いの画像


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